ごめん、ごめんよ。

ばらばらにされた人体が遺棄され、住宅街のあちこちのゴミ捨て場で見つかったという。

そして薄気味悪いことに、その一件以来、体の一部が欠損した謎の人物がうろつき、ゴミをあさるのだという。

ある場所では片腕のない人が、腕を探す。別な場所では、片脚のない人が、脚を。

 

いやいや、探したって、ばらばらの遺体はとっくに警察が回収して行ったでしょうに。

しかし彼らは、そんな既成事実なんかどうでもいいのだ。彼らは、彼らの失われた一部を、彼らのやり方で見つけようとしているのだ。

ほら、どうだ、そんなことを考えているうちに、彼らは次々と失われたパーツを見つけ出したではないか。なかなかやるなあ。

 

「これ、くっつけて」

 

彼らは、それぞれ欠損した体の一部を、たったいま見つけ出したばかりの人体を、こちらに差し出してくる。

 

よしよしわかった。くっつけてやろう。

 

左手、右手、左脚、右脚。手持無沙汰に転がった胴体に、パーツたちは次々に子気味よくくっついてゆく。そして、またたく間に、一人の完全体の人間が出来上がった。

そして、目をぱちくりさせると、そいつは無言で足早に立ち去っていった。

さて、目をぱちくりさせたのは、立ち去ったそいつだけじゃなかった。

さっきまでパーツを探していた「欠損者」たちもだ。

 

そうか。あのパーツは、この彼らの欠損した箇所につけてやらなきゃならなかったのだ。しまった、馬鹿なことをした。

それにしても、新しく造り上げられたあの彼は、いったい何者なのだ???

 

まだ、「欠損者」たちは、事態が呑み込めない様子で、自分たちのパーツが逃げていった方と、やらかしてしまったこっちとを、かわるがわる見ては呆然としている。

 

ごめん、ごめんってば。