読心術

夜の公園で、若い女の幽霊に遭った。
いろいろと愚痴を聞いてあげたあと、フト気になって、
特技は何かと聞いてみた。


「人の心を読むこと」


彼女は言った。
それじゃ、あそこのベンチにいるおじさんの考えていること
読んでみて、とリクエストしてみた。
彼女はじーっとそのおじさんの方を見ていたが、


「ぷぷっ」


吹き出して、闇に消えた。
おじさんが何を考えていたのかはどうでもいいとして、
幽霊が笑うというのははじめて見たので、印象的な出来事だった。