モダン・リビング
大きな窓から、たっぷりの日差しが、はいりこんでくる。
3階まで吹き抜けの、モダンなリビング・ルーム。
血を流した落ち武者が、倒れている。
この家の主である30代の企業家夫婦は、すっきりした冷たい金属の家具が好き。
色は、シルバー、ブラック、レッドあたりが基調だ。
開放型の広いキッチンには、ドイツやイタリアデザインのシャープな調理器具が並ぶ。
ちなみに、倒れている落ち武者は、200年前の合戦で戦死した武士の幽霊だ。
甲冑のあちこちに、折れた矢がささったままになっている。
それはそうと、この家を設計した建築家は、木のぬくもりも忘れてはいない。
ほとんどの壁面に大き目の木製収納をそなえたこの家は、「木の家」としての風合いも持つ。
明るいベイマツの材が窓からの採光を照り返し、自然な木の香りを漂わせている。
「おかあさん、ただいま」
小学４年生の長女が、学校から帰ってきた。
元気に落ち武者をまたいで自分の部屋に入っていく。
子供部屋は中２階にあり、ドアのない斬新な設計だ。これで家族は孤立することなく、
「我が家」という空間を共有できるのだ。
