タケオ

小学校に上がったばかりのタケオは、田舎のじいちゃんちに遊びにきている。
じいちゃんちの裏手の山はむかし合戦のあった場所で、今でも武者の幽霊が出る。


「おいタケオ、この崖、向こうまで飛び越してみろよ」
武者の大将が言う。


「へっちゃらだい」
元気なタケオは、助走をつけると、一気に身を躍らせた。
しかし、まだ体のちいさなタケオは飛びきれず、谷底へまっさかさま。


「おーいタケオ。だいじょうぶかあー」
武者たちは、心配そうに谷底を見下ろす。
「行ってじいちゃん呼んで来いよ」
大将が足軽に言う。


真っ青になったじいちゃんが、タケオを抱えて家へ運ぶ。
「ごめんなさい」
武者たちが、ちいさくなって頭を下げる。


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