その2

幽霊に、懇々と立ち退きを説得。
「公衆道徳とは、互いに譲歩することでもあるのだ」
と、私は幽霊に優しく諭した。


なのに幽霊は、
「じゃあ、互いに譲歩することは、公衆道徳だと言うんだな?」
などとオウム返しに言い返して来たので、私のアタマの火山が大噴火。
つい怒鳴りつけてしまった。


「ばかもん!1たす2が3になるからといって、
3から2を引いたらいつでも1になるというわけではないんだぞ!!」


幽霊は、
「なるじゃないか!なるじゃないか!」
と言って泣きながら、消えていった。


それからは、二度と現れない。
どんな相手でも、真摯に話せば、分かってくれるのである。


にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ