その1

日暮れ時。玄関先を掃いていたら、ゆらりと目に入るものがあった。
真っ黒な、人型の影。
それは、ちいさな児童公園のわきにある、公衆電話ボックスの前にたたずんでいる。


それを見たとたん、町内会役員をつとめる私は、腹が立ってしょうがなくなってしまった。


公衆電話は大事な情報伝達のためにあるのであり、幽霊がなにかアピールするためではない。
電話をかけもしないのに入り口を塞いでいては、他のひとが使えないではないか。
本人にはなにか特別な事情でもあるのだろうが、まったくはた迷惑な話である。


公共の場所を、我が物とばかり思っているから、ああいった行動がとれるに違いない。
ああいう了見の手合いがいるから、いつまでたっても、駅前の放置自転車が減らないのである。


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