地震と角度
授業中、大きな地震が起きた。
若い女の先生は、落ち着いて座っているようにと生徒たちに諭す。
暗い夕空、垂れ込めた雲の間から、やけに赤い夕焼けが燃えるようだ。
校舎はありえない角度でひねられる。
南を向いていた窓から、西にある町並みや、次には東にある町並みまでが、
ぐうらり。ぐうらり。と、展望できるのだ。まったく普通じゃない。
ペンシルビルならまだしも、こんな横長の低い校舎がこれでは、相当大きな揺れなのだろう。
「先生、校舎が15度もひねられています」
ひとりの生徒が、手を挙げて言った。
先生は教卓にしがみつきながら答えた。
「あわててはいけません。15度ではなくて、これは45度が正解です」
縦揺れが一発きたら、すべてが崩壊だろう。