うわさの電車

深夜。住宅地のはずれ。
人っ子一人通らないこの辺りは、昼間でも気味が悪い。
ちいさな踏切が、ぼうっと淡い光で浮かび上がっている。
これを越えると、向こうが我が家だ。


近づいたとたん、警報機が鳴り出した。
どきっとする。もう終電はとっくに終わっているはずなのに。


列車がやってきた。
私は目を見張った。なんと、それはおさるの電車だったのだ。
「つぎは〜挽肉〜挽肉〜」
おさるがアナウンスするのが聞こえる。
「ぎゃああああああああああ・・・・・」
悲鳴と共に、おさるの電車は遠ざかって行った。


ああ、あれがうわさのやつなのか。