謎の部屋


「不動産屋に案内してもらった部屋は、どうもおかしかったんです


入ってみた感じ、間取り図と合わない。
「この壁の向こうにもうひと部屋あったんじゃないですか?」
と聞いてみたんですよ。


「いや、そんなはずは・・・。でも、たしかに変ですね」
不動産屋も、疑いだしたんです。
で、壁を壊してみることになりました。


たしかに、壁の向こうには部屋が出現しました。
しかし、それはなんの変哲もない普通の部屋。
怪談に出てくるような、犯罪のにおいのする空間を想像していた私は、
拍子抜けがしました。
「あっ。この向こうにもまだ部屋が隠されていそうですよ」
と不動産屋が言います。
なので、また壁を壊してみることに。


・・・で、
今度もまた、普通の部屋が出てくるかと思ったんですが、今度は違ったんです」


男の話をにこりともせず聞いていた刑事は、ため息をついて言った。
「結局、銀行の金庫室に侵入したのは故意じゃなかった、って言いたいんだな?」