つまんないリカちゃん

ある雨の夜。
新婚の妻が事故に遭って危篤状態だという報せが、病院から入った。
悲愴な気持ちで身支度もそこそこに飛び出すと、また電話。
なんてことだ。急いでいるのに、今度は何だ。


「もしもし。あたし、つまんないリカちゃん」


・・・え???


「いま、あなたのうしろにいるの」


振り返ると、ちいさな人形が置いてあった。たしかにつまらん。
こんなものに一刻を争う大事な時間をとられてしまうとは。


・・・ま、今から急いだところで、時間的に間に合うわけでもないんだけどな。