理屈っぽい幽霊屋敷

「理屈っぽい幽霊屋敷」を探検するのが好きだ。
どういうスポットなのかというと、不思議な磁場の影響によって、
入った人が理屈っぽくなってしまうのだ。


さて、今からさっそく入ってみることにしましょう。


はずれかけた引き戸を開けて、中へ踏み込んだ。。
入る前は理屈っぽくないので、実践的にすぐさま行動に出られたのだが、
これから徐々に理屈っぽくなっていくはずだ。


長年人の支配を受けていない、荒廃した雰囲気。
荒廃するのは自然の成り行きなのだが、とてもそれだけには収めきれない
「雰囲気」がある。
「雰囲気」そのものに存在がある、というか。強いて言うなら、
「不在」という、負の存在。
それをこちらに強く訴えかけて来るという、これはある種、
生きている人以上に影響を及ぼしてくる力のようなものだ。
その力を発信する何者かがいて、それをまた受信する者との間には・・・


ああ、外に出ちゃった。
家が小さいから、すぐ裏手に着くんだな。
もう一軒あるんですよ。行ってみましょう。ガラガラ。


こちらはさっきとはまた違う雰囲気である。
荒廃しているのは同じなのだが、何かが違う。
どう違うかというと、例えば「八代」という漢字を想像してみよう。
これは読みが「やしろ」である。
しかしふたつの字の間に「千」を加えると「八千代」となり、読みは「やちよ」と変化する。
「八」は両方共に同じ読みであるからこの際いいとして、
問題は「代」である。これが一方では「しろ」、もう一方では・・・


・・・やばい。直感が訴えかけてくる。譬えの論点がめちゃくちゃだと。
直ちにこの家を出ろと。


ああ、怖かった。全然理屈になってない。
ありゃあもう、理屈を超えて、「屁理屈」だなあ。
スポット巡りマップに「要注意」マークをつけておこう。


「理屈っぽい幽霊屋敷探訪」。誰でも日帰りで学者気分が味わえます。
理屈っぽいのが嫌いな人、極度に論争好きな人にはお勧めできません。