謎の足跡

昨夜はひどい夢にうなされた。
朝になって目を覚ますと、ベッドの回りに、泥の付いた足跡が無数に残っている。
よく見てみれば、一人の人間が裸足で歩き回ったものらしい。


このベッドの足元から始まって、頭の方へ行き、引き返してまた反対側へ。
それを10回ほど繰り返したあと、足跡は壁を登っていく。
そして天井を逆さに歩いて窓際へ。足跡は窓ガラスの上にも付いており、
開けて外を見ると、マンションの外壁にも付いている。


そこから、謎の人物はまた室内へ引き返したようだ。
足跡を辿っていくと、蛇行しながらベッドの下へと続いている。


と、いうことは。今、そいつは目の前のこのベッドの下にいるのだ。


恐怖で体が凍りつく。覗き込むなんて出来るもんか。
すぐにでも部屋を飛び出したいが、足が動かない。足が。


・・・フト自分の足を見ると、裸足。泥だらけだ。
なあんだ。歩き回ってたのは、俺じゃないか。
怖がって損しちゃったよん。


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