プロの技術

フック船長に追われ、気がつくと子供の上に肩車していた。
こちらを弓でねらう男がいる。ロビン・フッドだ。
おいロビン。待ってくれ。俺はリンゴじゃないよ。


さくっ。


頭の上で、音がした。
どよめく群集。パチパチパチと大きな拍手。
俺の頭にリンゴが乗せられていたのだった。ああびっくりした。


と思ったら、上から手カギで羽交い絞めにされる。
「ふっふっふ。ピーター・パンよ。これでおまえもおしまいだ」
フック船長が、俺の肩に乗っかかっているのだ。


またロビン・フッドが弓に矢をつがえた。
こいつ。こいつを撃ってください、ロビンさん。


さくっ。


見上げると、首をすくめた船長の頭に、矢で貫かれたリンゴが。
どよめく群集。大きな拍手。海賊船長も、ほっとした顔で観衆に手を振っている。


またロビン・フッドが弓をかまえた。
船長の上に、ウエンディが。


もうやめませんか、こんなこと。


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