ヤマバト

うちに届いた牛乳を、毎朝ヤマバトが勝手に飲んでしまう。
なぜなら、玄関にある牛乳入れの箱が、彼らの巣になっているからだ。
なら、牛乳の配達人に言って、ビンを入れる場所を変えてもらわなくてはならない。


三日ほど前から、仕事を休んで玄関を見張っている。
牛乳屋め、俺が見張っていると知って、来ないつもりだ。
そうか、やつら、ヤマバトとぐるだったんだな。
ちくしょう。俺は世界一不幸な、アーノルド・シュワルツ・パーマーだ。


しかし、どうやら俺は牛乳の配達を頼んだことが一度もないことが、
このたびアパートの大家さんの調べであきらかになりました。
というか、そもそもこの町には牛乳屋がいないようなのだ。


じゃあ、このヤマバトはなんなんだ。
俺ん家の牛乳ビンを毎朝空にして、のうのうと暮らしているこいつらは。


そうか。わかった。いまやっと、この事件のナゾが解けました。
ここにこうしてお集まりくださったみなさん。
どうかこの場所を動かないように。犯人は、この中にいます。


ほら、警備員さん。そっちのキャッシュカード・サービスの出口も封鎖して。
ヤマバトに逃げられてしまうじゃないですか。
支店長さん、ボクは強盗ではありません。警察から頼まれて来た者です。
さあさあ、逃げるヤマバトは、全部このライフルで撃っちまうぞ。


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