終点
バスに揺られ、おもわずウトウト。
ひょっと目を覚ましてまわりを見ると、乗客が全員、お地蔵さんになっていた。
たいへんだ。えらいことですよ、運転手さん。
運転席を見ると、お地蔵さんがハンドルを握っていた。
「バスの走行中は席を立たないで下さいね」
おこられてしまった。すごすご席まで戻る。
もっとよく見たら、ここは墓地じゃないか。
カア、とカラスが頭の上で鳴く。
お地蔵さんが並んでいるのも、当然だ。
てか、墓場で「席に座ってろ」もないもんだ。
ぞろぞろぞろ。お地蔵さんたちが移動し始めた。
たいへんだ。えらいことですよ、運転手さん。
「終点です。お忘れ物の無いようにお降りください」
降りろって。ちょっと。墓場から、この先どこへ行けっていうんですか。
答えてくださいよ。ねえ。ちょっと。