黒いすいか

お不動さんの日、門前はすいかでにぎわっていた。
どこから集まってきたのか、あかるい緑に縞々模様の丸い姿が、ごろごろしている。
空は高く、今日はいい天気。すいかたちも、汗をかいている。


ばちゃり。
金魚すくいの水槽に、すいかがひとつ落ちる。まるで違和感なし。


あわてて立ち上がったテキヤのすいかが、煙草をくわえたまま、地面に転げ落ちた。
アスファルトの上で、あえなくまっぷたつ。
すいかの中身は、ヤニで真っ黒になっていた。


ああ、食べたくない。食べたくない。


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