2008-02-26から1日間の記事一覧

心配性の最期

実に細かいことに対して心配性な俺は、今まさにわけのわからない魔物に追われている。 とにかく、やつのツメはとんがっていて危ない。 魔物自身にとってもあれは危険だろう。朝、顔を洗うときとか。 商店街を駆け抜け、自転車屋のわきの路地に駆け込む。 そ…

セメントと科学

セメント樽の中から手紙が出てきた。 これを書いた女工はセメント精製所で働いている。 ある日、砂利の粉砕機を担当する恋人が、機械の中へ落ちてしまったそうだ。 そして、この樽の中に入っているのが恋人の粉末なのだという。 なんだかやるせない話だ。 か…

恐怖体験

俺はバスを待っていた。 うしろは建設現場。鉄の目隠し壁がそびえている。 もう夜なので、作業は終わっていて、静かだ。 なにやら視線を感じたが、鉄壁はずっと向こうの方まで続いていて、 この歩道にも自分のほか誰もいない。気のせいかな。 ようく見てみる…