心配性の最期

実に細かいことに対して心配性な俺は、今まさにわけのわからない魔物に追われている。
とにかく、やつのツメはとんがっていて危ない。
魔物自身にとってもあれは危険だろう。朝、顔を洗うときとか。


商店街を駆け抜け、自転車屋のわきの路地に駆け込む。
それにしても、個人経営の自転車屋って、儲かるんだろうか。
外国産の商品なんかを扱っていると、固定客がつく。
そうなると、なにかにつけて特殊部品やら買って行ってくれる。
代々自転車屋をやっていれば、家賃は要らない。近所に信頼もある。
そこがネックかな。


路地を抜け、裏通りへ。
それにしても、表通りと裏通りって、どこから区別されるんだろう。
昔は表通りだった街道も、今は国道が開通したおかげでひなびた裏通りになっている、
そんな例もある。
昔の街道は、趣があっていいものだ。夕日を浴びて、物売りがゆっくり通ってゆく。いいね。
そういえば、金魚売りなんて、なんでわざわざ売りに来てたんだろう。


袋小路へ入り込んでしまったようだ。
高速道路の立体交差があるため二面を鉄柵で塞がれ、もう一面は工場の壁だ。
こういう場所で警察を呼ぶ場合、番地はなんて言ったらいいんだろう。


魔物に追いつかれた。
廃棄されたバイクや自動車のそばで、地面に押し付けられる。
のどに、鋭いツメが食い込む。こんなところで人生の再期を迎えるとは。


・・・それにしても、ナンバープレートの番号って、だれが考えてるんだろう。


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