ひとり多い

いわくのある家に移ってから、異変続きだ。
まず最初に気づいたのは、部屋にある本棚の並び。
三国志の全集が、どう数えても一冊多いのだ。
しかし、どれがだぶっているのか分からない。


次に気づいたのは、駅の路線図。家から会社のある駅まで、どう見てもひと駅多い。
でも、どの駅が増えているのか分からない。
会社のビルの階数も増えている。お昼の定食の品数も一品多い。
カレンダーも、どの曜日が余計なのか分からないが、週8日ある。
しまいには、手の指が6本に。


もしかしたら、頭が変になったのかもしれない。
そう思って、精神科を訪れた。
名前を呼ばれて診察室に入ると、先生が怪訝な顔をする。
「順番を守ってください。あなたはこの次でしょう」


よかっった。俺だけじゃないいんだ。


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