和尚さんと餅

山寺の和尚さんは、夜中にこっそりひとりで餅を焼いて食うのが好きでのう。
小坊主たちは、それがうらやましくて仕方がない。
なんとかあれを自分たちも相伴にあずかる方法はないものか。
みなで知恵をあわせて考えたのじゃ。


ある晩、いちばん年長の小坊主が、和尚さんに相談に行った。
部屋に入ると、なんと。餅の火鉢から火の手が上がっているではないか。火事じゃ。
和尚さんが叫ぶ。「おい珍念。水を持ってきてくれ」
もう餅どころじゃない。往々にして、入念な計略はこんな感じで水泡に帰するもんじゃて。


火の手は大きくなり、小坊主たちは逃げ出す。「うひゃああ」


「こりゃお前たち。先に逃げるやつがあるか」追いかける和尚さん。


その後ろを、仏像が走ってくる。


一番あとから、火のついた寺が走ってくる。


みんなで、ふもとの川へ飛び込み、火は消えた。
「ああ・・・熱かった・・・」


それ以来というもの、和尚さんは隠れ食いをやめ、みんなにも餅を分けてくれるように
なったということじゃ。


めでたし、めでたし。


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ネタの最終チェックに来て、はからずも管理人みずから7777を踏んでしまいました。
(またかよ!!)
毎日読みにきてくださって、ほんとうにありがとうございます。
このまま帰るのもナンなので、緊急に一編つくって行きます。