2008-02-24から1日間の記事一覧

進まない道

冬枯れの道は、殺風景だ。人々は、からっ風から身を守るように、早足で歩く。 駅に向かって歩いているのだが、さっきから全然進んでいる様子が無いのはなぜだろう。 右手の公園はずっと同じだし、向こうにある教会の尖塔も、一向に近づく気配が無い。 前を行…

和尚さんと餅

山寺の和尚さんは、夜中にこっそりひとりで餅を焼いて食うのが好きでのう。 小坊主たちは、それがうらやましくて仕方がない。 なんとかあれを自分たちも相伴にあずかる方法はないものか。 みなで知恵をあわせて考えたのじゃ。 ある晩、いちばん年長の小坊主…

ひとり多い

いわくのある家に移ってから、異変続きだ。 まず最初に気づいたのは、部屋にある本棚の並び。 三国志の全集が、どう数えても一冊多いのだ。 しかし、どれがだぶっているのか分からない。 次に気づいたのは、駅の路線図。家から会社のある駅まで、どう見ても…

パズル博士ふたたび

夜中に目を覚ますと、金縛り。 足元を見ると、初老の男が座ってこちらを見ている。 「私は、パズル博士だ。この問題が解けるかな?」 男の後ろから、もうひとりの男が出てきた。 まるで双子のようにそっくりだ。 「間違いを探せ。全部で5つ。すべて見つけら…