脱出

天井から、立ったままの死人が落ちてくる。
さくっ、さくっ、と小気味よい音をさせて、つぎつぎに畳へ突き刺さる。


畳の上に寝ているこちらとしては、たまったものではない。
右へ、左へ、ごろごろと転がりながらよける。


八畳の間はもうすでに、突き刺さった死人で針の山のようだ。
転がってよける余地も無くなってきた。
このままでは、死人に貫かれるのも、時間の問題だ。


生き残る方法としては、立ち上がって部屋を出ることだけ。
しかし、畳から香るイグサの青い香りが心地よすぎて、困ってしまう。


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