茶室で

お茶の用意が出来るまで、待合で座って待っている。
ちいさいながら、どこを見回しても風雅なつくりの建築は、
侘びていながらもなんだか贅沢だ。


「ネコと牛とワシ。どちらになさいますか」


和服の女性が聞いてきた。
なんだかよくわからないので、ネコ、ウシ、ワシ・・・と復唱したら、
女性は「かしこまりました」と奥へひっこむ。まあなんでもいいか。


にゃあ、と声がした。


茶室のちいさな障子窓を見ると、おおきな羽根がばさばさと羽ばたく影が見える。
どすどすどす、と畳を踏む重い音がこちらにまで響いてくる。


・・・あ、すみませんネコで! やっぱりネコだけでおねがいします!!


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